騎士の国とその武将

息抜き

ある国を担当していたとき、その国の大使と話す機会があった。

その国との取引規模は、そんな大きなものではなかったのだが、長く細く付き合いがあり、地味に支社もある大切な国だった。

商材の利用者が政府機関だったこともあり、やりとりする相手も非常に忙しい人たちだった。厳密にはその国の会社が間に入るのだが、タイトなものもあり、日々スピード感MAXの仕事をしていた。その種の人たちは分刻みのスケジュールで動くらしく、勘違いやミスは絶対的に許されない環境だった。

今思えば、社長をはじめ、上司、他部署の社員、みな騎士のような姿勢で仕事をしていた。
僕を含め、たまに落ち武者もいたが、みなすごい気迫だった。中でも、社長と営業部長の気迫と誠実さは見事なものだった。あの方たちには本当に教えてもらった。今の時代、何ハラかに当てはまるような内容もあったが、本当にためになった。
そして、その騎士たちが身を粉にして働くサマを見ていたので、僕も油断などできなかった。

そんなある日、その国の大使がイベントに出席するとのこと。
その国への出張を遠くない未来に控えていた僕に『おまえ、挨拶行ってこい』との指示。
二つ返事で快諾し、さらっと会話をイメージし出発したのだが、取り囲む人の多さで、すぐに落ち武者に戻ってしまった。
別に悪いことをしに来た訳ではない。簡単な挨拶と今後の予定を話すだけなのだが、ガチガチだった。ガラにもなく余計なことを考えてしまったのだ。
日々の人たちが分刻みってことは、大使は秒刻み?いやいや秒はないでしょ。なんて考えながら移動していたのだが、人の多さに『秒』もある。と思った瞬間ド緊張していた。3分くらいだったのだが、後半は何を話したか覚えていない。
帰社し名刺を渡したかを聞かれ、うなずくと騎士は笑いながら社長室に消えていった。

社長は大使とは長いらしく、その国のトップとも面識があるとのこと。
国のトップは本当に秒刻みで動くらしく、まさに超多忙だ。

そしてその国のサイズが大きくなれば更に多忙なのだろう。
G7の国ならどうか。安倍首相は何刻みのスケジュールだったのか。
言葉が見つからない。まだ終わりではないのだろうが、自愛ファーストでお願いしたい。

安倍さんの会見を見たら、忘れていたこと、騎士の国で学んだ『姿勢』を思い出しました。
本当にお疲れ様でした。

 

Photo by Rock’n Roll Monkey on Unsplash
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